GW中に思い切って不用品を処分しましたが、その分追加購入で結局±0のスカラベですみなさんこんばんは。
突然ですが、人間の体を構成している細胞って何個あるかご存知ですか?
正解は、およそ60兆個です。
そして、その細胞は1日に3,000億個が死に絶え、それとほぼ同数が新たに誕生しているのだそうです。
そうやって個体の恒常性が保たれているわけですが、その陰で日々途方もない数の細胞が入れ替わっているというのです。
だとすれば、同じ人間が過去と現在とで全く違う考え方をしているという事も、特に不思議なことではない気がします。
同じ見た目でも、その個体の構成要素がごっそり入れ替わっているわけですからね。
いえいえ、間違ってません。ここはキャンプのブログですよ!
今回は、購入当初は「趣を楽しむ。」と、ストームクッカーは絶対アルコールストーブで使うマンだった僕が、今ではすっかり、熱源はガスに限るマンに変わってしまった、という話です。
※以後アルコールストーブ=アルストと表記します。
トランギア社のストームクッカーとは?
1925年創業のアウトドアクッカーブランドである、北欧スウェーデンのトランギア社。
日本ではメスティンが人気ですね。
当初は家庭用調理器具を製造していたらしいのですが、1930年代頃から国の政策で労働者の余暇が増え、それに伴いアウトドア人口も増加したため、家庭用→屋外での調理器具の製造にシフトしていき、現在に至ります。
そのトランギアの主力商品であるアウトドアクッカーが、「ストームクッカー」です。
フライパン、ソースパン、風防、アルストがオールインワンになっている万能アウトドア調理器具で、これら全てを重ねてひとまとめに収納、携行できる優れもの。
僕自身が愛用していてしつこく記事にしているので、よろしければこちらもどうぞ。
1950年代には既に現在のものとほぼ同形状であるという事実から、いかに機能的、合理的で完成された商品であるかが伺えます。
国内代理店であるイワタニプリムスのサイトで、トランギアのブランドヒストリーについて詳しく書かれています。
また、同サイトの「トランギア本社訪問」記事もまた、その歴史を知る上で大変興味深かったので、是非読んでみてください。
スウェーデンが何故アウトドア大国と言われるかが理解できると同時に、トランギア製品に対してより愛着や親近感が持てると思います。
ストームクッカーのガス化とは?
ストームクッカーのベースには、割と大きめの穴が開いています。
ストームクッカーは基本装備では熱源がアルストになっていますが、それに代わってオプションのガスバーナーを装備する事で、ガス調理器具として使用可能になります。
本国スウェーデンではトランギア純正のガスバーナーが販売されていますが、ガス検がらみか日本国内での正規代理店販売はありません。
2段階でおこなわれるというこの検査は、世界一厳しいのではないか?と言われている様です。
1次検査は完成品を提出して検査を受ける仕組みですが、2次検査は検査員が工場に出向き、量産された個体をその場でランダムにピックアップして行われるとの事。
この事から、国内正規販売されていない理由として、以下の2点が挙げられます。
海外メーカーを法で締め出し、国内メーカーの既得権を守っているのでは?という見方もある様ですが、米国MSRのウインドバーナーは、認証取得して日本国内で正規販売されています。
しかし、もともとストームクッカーのオプション品であるこのバーナーは、自立不可で五徳も付いていませんから、日本で検査を通過するのはまず無理でしょう。
並行輸入品と互換品がある
ということで、ストームクッカー用のバーナーは国内で正規販売されていませんが、諦めなくても大丈夫です。
ガス化には次の2つの方法があります。
①トランギア純正の並行輸入品を購入する
ネット通販で外国産の商品を検索をしていると「並行輸入品」と書かれた商品をたまに見かけますね。
トランギアのガスバーナーは、先ほどのPSLPGマーク未取得が理由で代理店であるイワタニプリムスが正規輸入販売していないので、自分がその第三者になるか、もしくは他の第三者が輸入している物を購入する事になります。
この並行輸入品は10,000円以上しますが、ネット通販で簡単に手に入ります。
海外で合法的に入手した物を輸入販売しているので、これを購入する事自体に違法性はありません。
でもPSLPGマーク未取得の物って国内販売しちゃいけないんじゃないの?という疑問が残りますが、いわゆる“グレーゾーン”というやつで、例えば“雑貨”という分類で販売されていて使用に関してはあくまで自己責任、という事なのではないでしょうか?
もし僕の認識に間違いがありましたら、ご指摘願います。
②互換品を購入する
僕が選択したのはこちらの方で、互換品として販売されているBULINアダプターを購入しました。
なんといっても価格が3,000円程度と、純正の並行輸入品に比べて3分の1以下ですからね。
BULINは中国のクッカーメーカーで、ストームクッカーをオマージュした「BULIN BL100-Q1」というクッカーを販売しており、このクッカー用のガスバーナーがトランギアのストームクッカーでも使用できるというわけです。
ガスバーナー単体で約3,000円、バーナーもセットになったクッカーセットは4,500円で絶賛販売中と、この買い物は損なのか得なのか?
ちなみに、このクッカーのレビューを見ていたら、「盗難に遭ってしまい用品を買い直すにあたって、高価なストームクッカーは諦めてこちらを購入」というものがありました。
価格も半額以下でお得ですし、その方の評価は5つ星でしたので、おそらく使い勝手にも大きな差異はないでしょう。(※ソースパンは1個で、フライパンは付いていない様です。)
僕も同じ目に遭ってしまったらこちらを選ぶかもしれません。
ストームクッカーの購入を検討されている方は、先ほどご紹介したトランギア本社訪問記事を熟読された上で、伝統と職人手作りのプレミア感を選ぶか、それともコスパ重視かをご選択ください。
ネイチャーハイクやsoomloom、それから先日の登山用テント選びで出てきたモビガーデンに自由之魂と、最近の中国製品は安いばかりでは無く性能も高いですからね。
しかし、前述のとおりどちらのバーナーを選んでもPSLPGマーク未取得であることに変わりはなく、ガス化については自己責任である事をお含みおきください。
ガスバーナーの使い方
難しい事は何一つありませんが、一応解説しておきます。
①ベースの穴にホースを通し、本来アルストを置く部分にガスバーナーをセットします。先にガス缶を取り付けちゃうと穴に通せなくなるので注意。
②バルブがマイナス方向(半時計回り)に目いっぱい閉まっていることを確認。開いているとガス缶を付けてる途中からガスが出ちゃいますからね。
③バルブが閉まっている事を確認したら、ガス缶をねじ込んで取り付ける。
④バルブをゆっくり開け、「シュー」というガスが出る音がしたらライターなどでガスに点火。
あとは通常どおり使用します。
着火装置は付いていませんのでライターなどの用意が必要ですが、もともとアルストで使っていたでしょうから同じ着火装置を流用できますね。
僕は初めて使用したとき、着火に手間取っているうちにガスが出過ぎて、手の甲の毛をほぼ消失させるほどの炎を起こしてしまいました。
一瞬、「薙ぎ払え!」というクシャナの声が聞こえた様な気がしました。
CB缶、OD缶両方使える!
互換品にはCB缶も使えるようになる変換アダプタが付属します。
本来OD缶をねじ込む部分にこのアダプタをかませるだけで、CB缶が使用可能になります。
尚、CB缶使用時は切り欠きを上にして寝せるか、缶を立てないと生ガス(液体のガス)が出て炎が大きくなり、危険です。
立てて使用するのにちょうど良いホース長になっていますが、転倒してしまった場合なども考慮すると、寝せた方が無難です。
寝せて使う場合、僕のは切り欠き部分がちょうど良く上に来ますが、これに個体差があるかどうかは不明です。
心配な方は転がってしまって切り欠きの向きが変わらないように、別途スタンドを用意するといいでしょう。
市販のCB缶スタンドはこういうの↑がありますが、2021年5月現在、品切れでした。
Uボルトで自作するか、もしくは、付属のアダプタは無駄になってしまいますが以下↓で紹介するアダプタ付きのスタンドもオススメです。
トランギア純正バーナーの場合アダプタは付属しませんが、市販のアダプタを使用することで、同じ様にCB缶も使えるようになります。
単純に変換するだけのアダプタに加えて、CB缶→OD缶へのガスの詰め替えが可能になる器具が付属した物もありますので、用途に応じてお好みで。
トランギア純正と互換品との比較
①ホースの可とう性
まず僕が気にしていたのは、ガスホースの可とう性(しなやかさ、曲がりやすさ)です。
商品写真上では、純正に比べての互換品のホースはカクカク曲がっているように見えて、硬くて扱いづらいのではないか?という不安がありました。
しかし、これに関しては取り越し苦労で終わりました。単にそう見えてしまうだけの様です。
実物は穴を通す際も、ガス缶を繋いで置いてみても滑らかに曲がり、取り回しは良好です。
②単独使用の可否
互換品には無いポイントとして、純正品はバーナー下部に脚を付けて自立させる為のねじ切りがされています。
バーナーに脚をつける事によって、ストームクッカーにセットしなくても単体で使用できるようになるわけです。
その場合、五徳はどうするんでしょうね?ご存知の方がいらしたら、是非教えてください!
ちなみに、本国公式サイトも覗いてみましたが、僕の検索能力では脚部パーツは見つけられませんでした。
もっとも、この商品を求める方はストームクッカーでの使用を前提にされていると思いますので、単体使用はしないでしょうが、一応相違点のひとつとしてご紹介だけしておきます。
③見た目の違い
単純に見た目の違い。
純正品はバーナートップにトランギアのメーカーロゴの刻印があって、OD缶との接続部分にはPRIMUSの刻印もあります。
また、バーナーを引っ掛ける部分の金属プレートもボコボコとした凹凸があり、どことなく高級感があります。
対して互換品は当たり前ですがマークは無く、金属プレートもツルツルです。
これに関しては単純に見た目の好みの問題で、性能や使い勝手に関わる部分ではありません。
④ガス調整バルブの位置
OD缶をセットした時に、バルブの向きが、互換品は横向きに、純正品は上向きになります。
どちらが使い易いかは個人の主観ですが、脳内シミュレーションしてみた限りでは、バルブの操作性やガス缶の脱着のしやすさには、それほど違いはないと思います。
⑤大きな価格差
金額は先ほど書いたとおりで、最大の違いです。
用途がたった一つで、仕様上ほとんど違いの無いものが10,000円以上と3,000円程度では、後者を選択する方が圧倒的に多いでしょう。
実際僕もそうしました。
しかし、こだわりにこだわり抜いてギアを厳選している人にとっては、「これだけ互換品」というのは気持ち悪いかもしれませんね。
純正品で揃えることに7,000円以上の価値を見出せるかどうかがポイントです。
⑥純正品はケトルに入らない?
Tpoon chさんというYouTubeチャンネル内で観たのですが、純正品のバーナーでストームクッカーSにスタッキングを行なったところ、ケトルの中に入らない(無理矢理押し込めるが、フタが閉まらない)という動画がありました。
個体差というよりも、明らかにフタが閉まっていない状態でした。
ストームクッカーSとケトル0.6Lをお使いで、ガス化を検討されている方は、この辺も純正品か互換品かを決めるポイントになりそうですね。
今までどおりスタッキングできるか?
僕のAmazonほしいものリストを頻繁に出入りしていた、「マルチディスク」も合わせて購入しましたので、これも含めてスタッキングしてみます。
いつも使っているセットのアルストをガスバーナーに変えてひとまとめにします。リストにするとこちら。
- ストームクッカー UL Sサイズ本体(プライパン×1&ソースパン×2)
- BULIN互換バーナー(収納袋、CB缶アダプタ含む)
- ケトル(0.6L)
- マルチディスク(Φ18cm)
- アルミハンドル(付属の純正品)
- 着火用ライター(SOTOスライドガストーチ)
まず先にケトルにバーナーが入るかどうか、ちょっとやってみます。
バーナーだけではなく、CB缶変換アダプタも含めて袋に収納した状態でテスト。
これでフタが閉まるか?
CB缶変換アダプタも含めて、収納袋に入れたままで入りました。フタはほんの少し浮きますが、頑張らないと出し入れできない!という感じでもなく実用性があります。
やはり純正品と互換品で微妙なサイズの違いやホースの硬さの違いがあるんでしょうか?
とりあえず僕のBULIN互換バーナーは、無事ケトルに収まりました。
問題はケトルのフタの若干の浮きが、アルミハンドルや着火用ライターの収納に影響があるかですが、これも大丈夫でした。
最終的に、リストにある全てを収納してベルトで固定できました!
フライパンが少々浮いていますが、これはバーナーのせいではなくマルチディスクを挟んでいるからです。
とりあえずアルストをガスバーナーに置き換えても、従来どおりのセットで持ち運び可能な様で一安心です。
アルストと比べ、持ち運びやすさはどうか?
アルコール燃料の場合は使用する分だけ小分けにして持っていけば、パッキングも軽量コンパクトにできますが、僕みたいに料理好きな方はあまりそういう使い方はしないと思います。
燃料用アルコールを購入後、トランギア純正フューエルボトル(500ml)に移し替えてそのまま持って行った場合の比較になりますのであしからず。
①ガス一式の重量
ガスバーナー本体は収納袋を入れて実測で190g。CB缶用アダプタを入れると238g。
CB缶1本で350gとすると、全て合計して588g。
②アルコール一式の重量
トランギア純正アルストの方は、本体110g。
燃料用アルコールの比重が水の80%だとして計算すれば、500mlボトル1本の許容量=460mlで368g。
ボトル重量115gを足して総計483g。全て合計して593g。
ほぼ変わらないですね。
持ち運びに関して言えばどちらを選んでも大差はありません。
結局ガス化して良かったか?
ガスにもアルコールにもそれぞれの利点があります。
ガスと比較した場合のアルストの良さとして、例えば以下の点が挙げられます。
- 燃料を必要最小限だけ持っていける。
- 寒冷地でも安定して燃焼する。
- 燃焼音が静か。
- ゆらぐ炎を見ていると落ち着く。
- それでいて実用的な火力。
やはり軽量コンパクトということに尽きます。
お手軽に持ち歩いて、必要な時にパッと出してサッと使う感じですね。
逆にデメリットはどうでしょう?
- お湯が沸くまで時間が掛かる。
- コスパが悪い。
- 火加減調整や消火が面倒。
- 風に弱い。
- CB缶に比べると燃料が入手しづらい。
当然ですが、ガスと比べてしまえば、時間もお金も手間も掛かってしまうという結果です。
ガス化することで時短と燃料コスト節約に加え、火加減調整も簡単になりますので、効率は格段にアップします。
それぞれのキャンプスタイルによって好みは異なりますが、僕は調理器具自体の軽さや趣よりも料理そのものを楽しみたいので、ガス化は必然だったように思います。
あとがき
日本では実用性というよりも趣というか、ロマンあふれる道具としての色が強いアルストですが、ちょっと下の画像をご覧ください。
本国スウェーデンにて、スノーハイク中のランチタイムにストームクッカーでベーコンを炒め、パスタを茹でている様子です。
彼らが昔から日常的に行っている雪の中のピクニックでは、炒める、茹でる、煮込むがこれひとつで全て行えて気軽に携行できるストームクッカーが重宝され、その熱源には低温下でもしっかり燃焼するアルストが使用されるのも頷けます。
もっともこの写真は、トランギア社員が日本から来た取材クルーをもてなす為に行われたレクでの一コマなので、いくらかバイアスが掛かっていますがね。
スウェーデン国民だからといって、「一家に一台ストームクッカー」というわけでもないでしょう。
それでも記事中に「愛犬とともにスキーを楽しむ人と何度も行き交う。スノーハイクが日常的に楽しまれているのだろう。」という一文があります。
その中にはストームクッカーとアルストでランチを楽しんでいる人が、少なからず居るはずです。
本国では伝統と文化の中に息づいている道具であって、その火が消えることはなさそうです。
真鍮やチタンでできたシンプルで美しい筐体から上がる静かな炎。そのコンパクトさに見合わぬ火力で調理における実用性も必要十分となれば、アルストが日本のロマン派やミニマリストの心を鷲掴みにするのは当然ですね。
キャンプは非日常を楽しむという側面もあります。
アウトドア大国スウェーデンの暮らしに憧憬の念を抱きながら、アルストの静かな炎を眺めて過ごすのもまた一興というところでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた、次の記事でお会いしましょう
コメント
私もストームクッカーが大好きです。当方一人暮らしの為、ガス化してほぼ毎日使用してます。アルストは、キャンプの時にゴトク等 使用してツーバーナーで使ってます。
マルチディスクも買われたのですね。ベースにしたり、湯切りや虫よけの蓋にしたりと便利ですね。これが風防にもバッチリはまる事はご存知でした?当然、風防が熱くなる前ですが、気が付いた時は目から鱗でした。簡単な料理ならばテーブルを出さずに、ナイフとストームクッカーだけで完結しますよ。惚れ直しました。
アンちゃんさんコメントありがとうございます。
調理器具兼食器と合理的で、収納性にも優れてますから一人暮らしで使う分には十分ですよね。
もちろん利便性だけじゃなく、好きな道具を使える満足感もありますしね。
マルチディスクが風防にピッタリというのは知りませんでした。買ってはみたものの収納時のフライパン傷防止用途専用になっちゃっててもったいないので、早速試してみます!