家では親子3人で川の字になって寝ているKですみなさんこんばんは。
もっとも中央で寝ている娘の寝相が悪く、丑三つ時に横向きになって僕の横っ腹に足を突き刺してきますので、川の字が成立することは稀です。
むしろ1ー1という数式に近いものがあります。
合わせて0になる家族なんて、なんだか悲しいですね。
僕自身あまり寝付きがいい方じゃ無いのですが、ソロキャンプではむしろ快眠できていたりします。
最初はなんか怖くて眠れませんでしたが、1回安眠できると不思議と慣れるものです。
これは誰にも邪魔されないことと、何より自分に合ったスリーピングシステムがあるからに他なりません。
睡眠を制するものはキャンプを制す。
これからキャンプを始める方や、ちょっとした不便を感じながらも、ただなんとなく選んで購入しているものを使用している方のために、どんなものがあり何を買うべきなのか?を分かりやすく解説していきます!
とういわけで今日は、キャンプにオススメのスリーピングマットや、その選び方のお話。
スリーピングマットを選ぶ基準は何?
スリーピングマットを選ぶ上で重要なポイントは、下記の4項目です。
- 快適性・・・寝心地や肌触りの良さ。
- 利便性・・・展開・収納が簡単かどうか。
- 収納性・・・軽量コンパクトであるかどうか。
- 耐久性・・・丈夫であるかどうか。
①快適性
寝心地が最高なのは普段家で使っている布団やベッドであって、キャンプでもそれらをそのまま使えれば良いのですが、もちろんそうはいきません。
身体に合ったものを選んで快眠できれば気分がいいですし、翌朝の撤収や帰りの運転も楽になります。
キャンプを苦行にしないためにも、快適な寝心地が得られるマット選びは重要です。
②利便性
テントやタープの設営はもちろんのこと、アクティビティを楽しんだり、温泉に行ったり、食事の準備をしたりと何かと忙しいのがキャンプですので、展開や撤収が簡単にできる方が良いに決まってます。
ただし、展開の容易さは寝心地とのトレードオフだったりするので、注意したい点でもあります。
③収納性
キャンプ地への交通手段が徒歩であったり公共交通機関であったりする場合は、極力荷物を少なく、軽くしたいですよね。
また、車で行く方はそれほど気にする点ではないと思われがちですが、キャンプ用品がいろいろ増えてくると自宅の収納スペースを圧迫します。
ひとつひとつは小さくても、「塵も積もれば」という事になりがちですので、快適さを追求するあまりサイズや重量を度外視してばかりいると、いつしかクローゼットがキャンプ用品で溢れてしまいます。
④耐久性
屋外で使うものなので、軽視できないポイントです。
先端が鋭利な木枝や石、焚き火における火の粉、調理時の刃物の落下などは怪我のリスクになることはもちろん、キャンプギアを傷つける要因にもなります。
アウトドア用品にとって傷は勲章というか味になったりしますが、スリーピングシステムは例外です。最悪寝床を失うことになりますからね。
バックアップを用意するのもひとつの手ですが、根本的に耐久性があるに越したことはありません。
長さと幅はどう選ぶ?
どの様なマットでもレギュラーサイズで長さ180cm以上はありますので、男女ともに日本人平均身長内に収まっている人には十分です。
収納の都合でもっと短くする場合は、首からお尻までがカバー出来ていれば最低限OKです。ここは体幹で良く稼働する部分なので、休む際はしっかりカバーしておきたいところです。
はみ出した頭は枕で、足はザックや衣類でカバーできますからね。高身長でレギュラーサイズに収まらない人もこの方法でいけます。
幅に関しては、ゆっくり寝るなら60cm以上は欲しいところです。
僕が普段使っているマットは幅51cmです。正直もうちょっと広い方がいいと感じますが、狭くてもシュラフに入っていればそれほど気にはなりません。
特に寝相が悪い人は、可能な限り広めを選択しておいた方が無難です。
たまに見るけど、「R値」って何?
マットには「これはフカフカしているし、なんとなく暖かい気がする」など、個人の主観に基づいたものではなく、地面からの冷気の遮断能力を数値化した「R値」という国際基準が存在します。
下図はシートゥサミットのR値ガイドです。
自分の睡眠時体温(単純に暑がりか寒がりかで判断していいと思う)に応じて、どの季節にどれくらいの数値のマットを選べば良いかが確認できます。
地球は太陽によって絶えず暖められていますが、同時に赤外線を放射し続けています。この放射によって気温のバランスが保たれていますが、当然ながら夜は太陽の恩恵を被れないまま地球は熱を放射し続けます。
比較的温暖な時期でも、屋外で夜寝る際に地面から冷気を感じるのはこの為です。
簡単に言えば、R値が高ければ高いほど、より寒さに強いマットということになります。
2020年、R値は測定基準が統一された
このR値ですが、以前は各メーカー独自のテストによって定められれいたのでバラつきがありました。
しかし、2020年3月、ASTM(アメリカの民間国際標準化機関)によって基準が統一されました。
現在サーマレスト、ニーモ、SEA TO SUMMITなど、名だたるメーカーがこの基準を採用しています。
これら主要メーカー各商品の基準統一前後のR値の変化については、下記サイトより確認できます。
英語ですけど、表がありますので内容は把握できます。
新基準に合わせて商品を作り直したということでは無く、統一基準に則して計測し直した結果、同一商品でもR値が変化したということです。
参考までに僕の持っているマットで、リンク先の表に掲載されているものは新旧基準で以下のとおり変わっていました。
- サーマレスト Zライトソル 旧2.6→新2.0
- サーマレスト ネオエアーXライト 旧3.2→新4.2
- クライミット イナーシャオゾン 旧NA→新NA
新基準ではサーマレストのZライトソルのR値が下がり、ネオエアーは上がっています。
また、クライミットのイナーシャオゾンはいずれもNA(※該当なし、利用不可の意)になっています。
イナーシャオゾンはところどころ穴の開いたデザインのマットですから、そもそも基準に則した計測は不可ということだと思います。
下図はサーマレストの示すR値別の対応シーズンです。シートゥサミットに比べるとシンプルですが、内容は同じです。
これを見る限り、登山や厳冬期のキャンプでも無ければ、R値は2.0~3.0程度あればキャンプ場における3シーズンの使用には十分です。
また、詳しくは後述しますが、複数のマットを重ね使いすることでR値を合算できます。
キャンプ用マットの種類と選び方
何を基準に選べばいいのか、お分かりいただけましたでしょうか?
それじゃ具体的にいきましょう。
一口にキャンプ用マットと言っても種類がいくつかあります。どんな人が何を選べば良いのか?をまとめましたので、続きをどうぞ。
クローズドセルマット
いわゆるウレタンマットです。
サーマレストのZライトソルに代表されるアコーディオン型でパタパタと開くタイプのものや、円筒状に巻いてあるものを広げるタイプのものがあります。
エアマットの様に空気を抜いてコンパクトにはできませんので収納時は少々嵩張りますが、軽くて丈夫なので、登山をする方がよくザックにくくりつけていたりしています。
収納時に円筒状に丸めるタイプの物は、ザックの内側に沿って収納する事で効率よく収まりますし、ザック内にある荷物の保護にもなります。
軽量で比較的安価ですが、厚さがわずか2cm程度のこのマットは、正直言って多くの人にとってはおそらく「ベッドとしても使える座布団」という位置付けになるはずで、寝心地の良さは他のものに大きく劣ります。
ですが、何も持っていない方は迷わずこれを買いましょう。
スリーピングシステムに求める要件として真っ先にくるはずの「快適性」が最低ランクであるにもかかわらず、なぜこれを買わなければいけないのか?
それは、このマットが他に比べ圧倒的な利便性と耐久性、それに加えて他のマットとのコラボ能力を持ち合わせているからです。
圧倒的な利便性
折りたたんであるもの、あるいは巻いてあるものを広げるだけで瞬時に展開でき、エアーマットやコットと違って膨らませたり組み立てたりする手間がないので、設営撤収が非常に簡単です。
圧倒的な耐久性
空気を入れて使用するものでは無いので、もちろんパンクの恐れもありません。さすがに火の粉を浴びると溶けますが、それでも即座に使用不可にはなりません。
石ころや枝が転がっている地べたに座布団として敷いて、焚き火の近くで使用する事も、何の心配も気兼ねも無くできます。
僕は3年間に渡って、キャンプで、イベントや花見等の行楽で、それから自宅でもヘビーユースしています。
少々ヘタって薄くなってきた感はありますが、性能の劣化を体感してはおらず、まだまだ現役です。
魅惑のコラボ能力
ベッドとして単体で使用すると、多くの方は体が痛くて快眠はできないと思われますが、中には平気で寝られる方もいらっしゃると思います。
そんな方は、おめでとうございます。もうこれ以外何も買う必要はありません。弱者のマット選びを高みの見物していてください。
快眠できないあなた!
僕も同じですが、それじゃ、このマットを買って損したとは思わないでください。
こいつのメリットはもう一つ、コラボ能力にあります。
クローズドセルのマット単体でも快適に寝られる方はある種のスキルの持ち主ですが、その他大勢はキャンプ用マットのどれを選んでも100%満足はできないと思います。
なぜなら、常に自宅の寝具と比べてしまっているからです。
結果的に何をどうしても自宅の寝具には敵うはずが無いわけですが、クローズドセルマットとエアマット、インフレータブルマット、コットとの併用は50%の寝心地を60%だったり80%にしてくれます。
必然的に荷物は増えてしまいますが、快適さのアップに「コラボ=併用」は非常に有効です。
R値の合算
先ほどご説明した「R値」は、他のマットと重ねて使うとそれぞれの数値を合算できます。
サーマレストのZライトソルはR値が2.0ありますので、仮にあなたがR値3.0のエアマットを追加購入して併用すれば、寝心地アップに加えてR値2.0+3.0=5.0となり、3シーズン仕様から一気に真冬にまで対応したマットにグレードアップできるのです。
バックアップ要員として
クローズドセルマットはベッドとしてはイマイチなので、快適性と収納性を重視してエアマットを購入したいけどパンクが怖くて踏みとどまっているあなた。
でも大丈夫。クローズドセルマットも持ってるじゃありませんか!
もしパンクしても最悪クローズドセルがあります。何も無い冷たい地べたに横になるという地獄の夜は回避できますので、身体上も精神衛生上も良いことこの上なし。
パンクしてなければ、前述のとおり快適性とR値の向上にも使えるわけで、決して損にはなりません。
以上のことを総合して、まずはクローズドセルのマットを用意しましょう!
エアマット
バルブから空気を注入して風船みたいに膨らませるタイプです。
直接息を吹き入れるほか、ポンプサックを使用したり電動エアポンプで空気を入れる事も出来ます。
軽量でコンパクトに収納できて寝心地も良いのですが、穴が空いたら一巻の終わりというリスクも背負っています。
ほぼ全てのエアマットには補修キットが同梱されていますので、一応対応可能といえば可能ですが、狭いテント内で夜更けに補修はやりたくないですよね。
エアマットは種類がとにかく豊富です。2,000円程度で買えるライトなものから、登山をする人が使っているような数万円するものまで多岐にわたります。
空気を入れて膨らませるだけのマットになぜこれほどまでの価格差が生じるのか?高いものは値段なりに寝心地はいいのか?など疑問が尽きないと思います。
ざっくり言えば、内部構造の違いと購入後のサポート体制の差が価格に反映されています。
高価なものはその内部が例えて言うならマンションの様に、壁で仕切られたいくつもの部屋がレイヤー(階層)構造になっているので、エアマット特有のフワフワした寝心地にはならずに適度な張りがあって安定しています。
さらに、その内部に熱反射板が仕込まれているので、熱を逃しにくくて地面からの冷気に対して強いんです。
こうした内部の構造が、安価なエアマットとの寝心地、暖かさの違いです。
実際手持ちの物で比べてみれば、ネオエアーXと2,000円程度のマットではネオエアーXの方がもちろん良いわけですが、3シーズンの平地のキャンプ場で4.2ものR値はオーバースペックですし、「寝心地」は人の主観によるものです。
安いマットでは眠れないかと言われれば全くそんなことはありません。実際たくさんの夜を2,000円程度のマットとZライトソルで快適に過ごしてきました。
また、エアマットにはパンク補修用キットが同梱されていますが、その場しのぎにしかならない場合もあると思います。
そんな時、高価なメーカー品はアフターサポートが充実しています。修理対応をしてもらうことによって使い慣れたマットを末長く使える事でしょう。
もしくは、安価な物を購入して、消耗品として割り切って使うのもありです。
いずれパンクも考慮に入れた上で、安価なエアマットとクローズドセルマットを組み合わせて使うのが僕のオススメです。
インフレータブルマット
バルブを開くと空気が入ってそのまま放置していれば8割程度膨らみ、足りない分は追加で息を吹き入れることで完成される半自動膨張マットです。
中にあるウレタンフォームのおかげでクッション性もあり、キャンプ用のベッドとしては快適です。
エアマットよりも硬めですので、あまりフワフワした寝心地が好きではない方や、車中泊をする人には最適だと思います。
しかし、この利点が収納時には邪魔になってきます。
まず、しっかり入ったウレタンのせいでたたみにくいですし、嵩張ります。
それに、空気を抜く際は当然バルブを開けるわけですが、仕組み上手早くやらないと開いたバルブから空気が入ってきてしまいます。
巻いたり折り畳んだりしながら膝で押し込んで空気を抜いて一度バルブを閉め、再度バルブを開けて先ほどの工程を繰り返すことで、やっと収納可能になります。
僕はDODのソトネノサソイを持っていますが、これが手間なので、人に貸してばかりで自分ではほとんど使っていません。
物によっては1kgを切るものもありますが、快適さを重視して選ぶマットだと思いますので、重量や仕舞い寸法がそこそこ大きくなるのも玉に瑕です。
その他の注意点として、空気を入れて膨らますものなので当然パンクのリスクがあります。
また、熱に弱く、特に車中泊などで高温になる車内に放置していると、表面素材と中のウレタンが剥離してその部分が水膨れのように膨らんでくることもあり、こうなるとお手上げです。
他のマットと比べて突出して良い点が僕には見つけられないので、これは独断と偏見ですが、個人的には選ばないマットです。
コット
長方形の布の両端にポールを通して、脚をつけることでその布をピンと張って作る簡易ベッドです。
ヘリノックスのコットが有名ですが、より安価で性能も遜色が無い類似品も多数出てきています。
僕は潔いほどヘリノックスをパクったネイチャーハイクのを持っていますが、脚の組み方次第でハイ、ロー2形態選べます。
マットと違って組み立てる手間はありますが、地面から距離を取れる事で、それを補って余りある以下のようなメリットが存在します。
- 地表からの冷気の影響を直接受けない。
- 特にタープ泊などでフロアシートが無い場合、夜露に濡れた草が生い茂り、虫が這う地面から離れていて安心。
- 下部の空間が収納スペースになる。
- 椅子の代わりにもなる。
逆に地面から距離があることで生じる不都合と言えば、高い位置で寝る事になりますので、天井が低い小型のテントの中では、顔のすぐ近くにテントの壁が来たりして圧迫感がある事ですかね。
そもそも手持ちのテントに入らないというケースもあると思いますので、購入前のサイズ確認はくれぐれも怠りなく。
コットにエアマットやクローズドセルのマットの組み合わせはより快適さが上がりますので、僕も良く使う組み合わせです。
というわけでメリットが非常に多いコットは、収容可能なテントをお持ちの方や、タープ泊が多い方にもオススメです。
あとがき
これからキャンプを始めようとしている方は、最初のマットには迷わずクローズドセルマットを選びましょう。
それ1枚で済ませることができたら、本当に幸運ですよ。
満足できなくても決して無駄にはなりません。テント内に敷くマットとして、地面に座る際の座布団として、また、後に購入するマットの良き相棒として大活躍してくれること間違いなしですからね。
今回の記事内容を参考にして頂いて、ご自身のスタイルに合ったマットやコットをお選びください。
シュラフや枕など、睡眠の質を上げるための装備は他にもありますが、それはまた次の機会にご紹介します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた次の記事でお会いしましょう!
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