一人カラオケに一人焼肉。
そして「おひとりさま」ブームの波は、キャンプにまで押し寄せてきて久しく、今は空前のソロキャンプブームになっています。
そもそもキャンプは登山やツーリングの延長でする人もいるわけですから、もともと「おひとりさま」との親和性も高いですよね。
しかし中には、1人で何するの?とか、1人でそんな事して楽しいか?っていう方もいらっしゃるでしょう。
結論から言うと、楽しみ方はたくさんありますが、自分の適性を見つけられるかどうかにかかっています。そして何より「ごっこ遊び」として楽しむことが大切です。
ソロキャンプに二の足を踏んでいる方、これからキャンプを始めようと思っている方や、いつも同じ内容でマンネリ気味になっている方は、これを機会にソロキャンプの可能性を模索してみてください。
ブッシュクラフト
北欧がメッカで、wikiによると“自然環境の中における生活の知恵と総称され、その行為や技術をそう呼ぶ”そうです。
「サバイバルごっこ」
もっともサバイバルは帰還のための行為であり、ブッシュクラフトは生活の為の行為を指すようなので明確な違いがあるとのことですが、ソロキャンプにおいては「ごっこ」が楽しめればそんなのは気にせずどっちでもいいと僕は考えます。

ブッシュクラフトは古来より人間が自然の中で生きるために蓄積してきた知恵や技術をキャンプに活かしたスタイルで、その定義というか必要不可欠な要素が3つあります。
ブッシュクラフトの3大要素
小さなバックパックに必要最小限のギアをパッキングしてワイルドな一夜を過ごす。かっこいいですけど、初心者がいきなりやるには敷居が高すぎます。
まずはライターを使わない着火から
まずは通常のキャンプにブッシュクラフトの要素を少し取り入れてみることをおすすめします。
初心者はいきなり木に火を点けようとしがちですが、それではいくらやっても着火できません。小さな火種を徐々に大きくしていく必要があります。火を育てるというやつです。
まず、100均やスーパー、ホームセンターなどで売っている麻紐をほぐして綿状にしたものを火口として、これにファイアスターターで火を点けてみましょう。
コツとしては一発で着火させようとせず、最初にファイアスターターを削った粉末を火口にかけて、その上でバチバチと何度か火花を発生させることです。小さな火が点いたら手で包むようにして口でフーフーと酸素を送り、燃え広がることを促します。
ある程度燃えてきたら、それをフェザースティックや乾燥した小枝に燃え移らせることで火を大きくしていきます。

必携品であるナイフは1本購入しましょう。3,000円弱で買えるカーボンスチールのモーラナイフヘビーデューティーコンパニオンがあれば、木を削ったり細めの薪をバトニングするくらいは容易にできます。
無理にフェザースティックを作らなくても、木を削って細かくすれば火がつきやすくなります。ファイアスターターでの着火に挑戦してみたりするだけでも、ブッシュクラフトの片鱗は味わえます。
魅惑のロープワーク
次の段階としてロープワークを習得し、タープ泊やハンモック泊に挑戦してみましょう。テントを持たない事でだいぶ身軽になりますし、ペグはナイフで木を削って作り、ハンマーも石で代用すれば不要になります。
ロープワークに関しては、とりあえずこの4つを覚えておけば、ほとんどのケースに対応できると思います。
それぞれの特徴に関してはまた別の記事で詳しく書きたいと思います。
適性があれば更に達人の域へ
ここまで出来たらタープとナイフとロープだけで居住スペースを作って、火がおこせると言うことになります。かなり玄人感がありますよね。
しかし技術面はともかく最低限の装備で挑むこのスタイルは、キャンプでの快適さを追求する方や、たくさんのお気に入りギアを並べて愛でるのが好きな方には向いていないという点で、人を選ぶスタイルとも言えます。
逆にこれにハマったら、もっと精密な加工ができる小型ナイフや彫刻刀などを併用して、拾った木でスプーンやコップを作ってみましょう。それすら苦にならない方は、タープさえ持って行かずに山でシェルターを自作する変態を目指してください。
いつか海外YouTuberのキツネさんみたいなことが出来たら素敵です。
僕にはまだ彼の言う「自然の声」が聞こえません。
アウトドア料理に凝ってみる
ごっこというか、調理実習。
僕だけかもしれませんが最近のキャンプはBBQ、というか焼肉ばっかりです。
キャンプってのんびりしているようで、意外と忙しいんですよね。家族で行くと特になんですけど、設営して、子供や犬が退屈しないように遊んであげて、日が暮れる前に温泉行って、などとやっているうちに腹も減ってくる。
そこから料理を始めると結構時間に追われたりしちゃうんです。

友達と行ったら行ったで、お互い忙しい中で久しぶりに会うもんだから積もる話もあって、パパッと焼肉でもしながら酒でも飲んで話そうか!という流れになってしまいます。
もちろんこれはこれで楽しいんですが、なかなか腰を据えて料理するという機会がありません。
でもソロだったらこんな心配は無用。一人だし時間はいくらでもありますからね。慣れない焚き火調理とかで万が一失敗しても、自分が食べる分だけなのであまり無駄にもならないし。練習だと割り切って、そこでブラッシュアップした料理を後日家族や友人に振る舞うこともできます。
僕はもともと料理好きで自宅キッチンに立つことも多いですが、実験的な料理や火加減の調整が難しいものは、やはりまず一人で試してから実戦投入したいもの。見栄っ張りなので。
手前味噌ですが、今まで作った中で好評だった「豚のコーラ角煮」のレシピをご紹介します。

豚のコーラ角煮
★材料(二人分)
- 豚バラブロック(400g)
- コーラ(350ml※豚肉がヒタヒタになる程度で調整)
- 醤油(50cc)
- 長ネギ(青い部分)
- 生姜(ひとかけ)
意外にもコーラが八角の味を連想させ、簡単ですがわりと本格的に仕上がりますよ。
料理はイマイチ、っていう方も一人だと逆に安心なので思い切って練習してみましょう。
スタンドアローン・コンプレックス
訳して”孤立する複合体“。
「村ごっこ」。
友人たちと連れ立って集団で来てはいるものの、個々にテントを張って焚き火も1人1個ずつという、小さな集落を形成するタイプ。バイクでツーリングをしている方々に多いスタイル。
そうでなくても自分のテントや道具にこだわりや愛着があったり、それぞれのキャンプスタイルを尊重していたりと、みんなでわいわいしながらもテントやギアは共用せずに自分のお気に入りのものを使いながら、それぞれのスタイルを楽しみたいというソロキャンプ好きの集団である場合も。

村とはいえ村長は不在で、個を尊重(韻を踏んでいるね♪)
同一グループであっても適切なディスタンスを取るこのスタイルは、時節柄適しているとも言えます。
料理も個々に作って、自慢の一品をおすそ分けしたり、みんなで少しずつシェアするのもまた楽しい。
特に小難しいルールも制約もなく集団の中で個性を発揮できますし、寂しくて虚しいからとソロキャンプを敬遠する方にもうってつけ。
しかし人数や広さによってはフリーサイトの一角を占拠する形になってしまいます。フリーなんだから早い者勝ちと言ってしまえばそれまでですが、譲り合いの精神も必要。
なるべく広いサイトを選んで、多少の不便があってもなるべく端の方に陣を構えるなど、くれぐれも他のキャンパーの迷惑にならないような位置取りに配慮しましょう。
何もしない
秘密基地ごっこ。
普段家でやっている事を屋外の小さなパーソナルスペースに落とし込んだスタイル。

それなら家でいいじゃないかという方もいます。では、草野球をする事に何か意味があるのか?カラオケで歌うことに意味があるのか?特に理由もなく、ただ楽しいから。それと全く同じです。
秘密基地を作って籠るのが楽しい。それがソロキャンプというフォーマットで実現されたというだけのことなのです。
現代もそうであるかは分かりませんが、元来日本人は勤勉で生真面目な性格であると諸外国からは評されています。
そのDNAからくる真面目さはキャンプというレジャーにおいても発揮され、せっかく来たからには何かしないといけないのではないか?という強迫観念や、何もしないことに対しての自責の念を覚える方さえいます。
そういった思考が、1人で何するの?という発想につながります。
騒ぎすぎない、ゴミを放置しないなど日常生活におけるそれと同様、キャンプ場における最低限のマナーさえ守っていれば、何もしないで過ごすことは決して悪いことではありません。
料理が面倒ならコンビニのおにぎりやカップラーメンでもいい。漫画を読んで過ごしてもいいし、昼からお酒を飲んで寝ていてもいい。
僕なんかiPadで遊んでたり、犬とひたすらゴロゴロして気が向いたら散歩したりして、自分だけの小さなお城でのひと時を楽しんでいます。
誤解の無いように言っておきますが、家庭は円満です。
あとがき
いかがでしたでしょうか?
もちろんこれは僕の考えつく内容であり、楽しみ方はこれが全てではありません。僕自身いろいろなスタイルを模索中ですので、何か良いアイデアや楽しみ方をご存知の方がいらっしゃればメールやコメントをお寄せいただければ幸いです。
また、楽しみ方は人それぞれですが、僕らのような消費者側と、キャンプはじめアウトドア業界の中に居る方とでは意見も異なる部分があるようです。
特に、ゼインアーツ代表の小杉氏のインタビュー内容が興味深かったので、いずれそちらの視点についても記事にしていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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